主にステーブルコイン同士の取引に利用されるCurveですが、その独特なビジュアルや何をどうしたらいいのかわからないUIから、名前は知ってるけど使ったことがない方も多いはず。
そんなわかりにくいと評判のCurveについて、この記事では特徴や仕組みをわかりやすく解説していきます。
投資助言ではない点、監査を受けているものの、コントラクトバグ・ハッキングリスクがある点にはご留意ください。
Curveの主な役割はステーブルコイン同士の取引
まず、ステーブルコインとは価値が1ドルと同じになるように設計されているトークンのことです。ステーブルコインにはいくつか種類があり、それぞれ1ドルに近づけるための仕組みが異なります。(ステーブルコインの詳しい解説は「ステーブルコイン比較まとめ」参照)
DeFiにはステーブルコインを運用するためのサービスもたくさんあり、ステーブルコインによって運用利率も異なりますし、そもそも対応しているステーブルコインも異なったりします。
そこで、自分の持っているステーブルコインを別のステーブルコインに替えたくなるわけですが、同じ1ドルを目指しているトークン同士の交換なのに手数料や悪いレートで取引したくないですよね?
CurveはそんなDeFiユーザーのニーズを満たすため、「良いレート」「低い手数料」でステーブルコイン同士を交換することを目指して誕生したサービスです。(実際にはBTC系トークンやETHも取引できますが、ここではステーブルコインに焦点を当てて説明していきます。)
では、どのように良いレート・低い手数料を実現しているのでしょう。Curveの詳しい仕組みについて説明していきます。
Curveの仕組みを理解しよう
Curveでステーブルコインが交換される仕組み
Curveでのトークンの交換は、Uniswapのような流動性プールを使って行われます。流動性プールには交換対象となるトークンが準備されており、AをBに交換したいユーザーはAをプールに入れて、Bをプールから引き出していきます。
ここで、AとBを交換するためのレートはプール内のAとBのバランスによって自動的に決まります。そのため、バランスが崩れるような取引はレートが悪くなってしまうわけです。
逆に言えば、大きな取引が行われてもバランスが崩れないくらい大きなプール(多額のステーブルコインが預けれられているプール)を準備しておけば、良いレートでの取引を提供できるようになるわけです。
流動性プールについて詳しく知りたい方は「Uniswapを3分でわかるように解説」をご覧ください。
Curveの流動性プールを大きくするための仕組み
Curveでは良いレートでの取引を提供するために必要な大きなプールを準備するためのインセンティブが用意されています。プールにステーブルコインを預けると良いことがあるということです。
Curveでは、3段階のインセンティブが用意されています。
ステージ1:流動性プールに預けて手数料をもらう
ステージ1は、先程説明した流動性プールにステーブルコインを預けて取引手数料の一部をもらうというもの。
流動性プールに預けると、預かり証のようなものを代わりに受け取ります。これをLPトークンといいます。LPトークンはプール内のシェアを意味しています。流動性プールで取引が行われると、手数料を引いた分のトークンが取引者に返され、手数料はプールにストックされます。手数料が貯まっていけば、シェアあたりの金額も大きくなります。最終的にLPトークンを返して預けていたトークンを引き出したとき、手数料収入を含む金額が得られるということです。
つまり、取引量が増えるほど手数料がたくさんプールに貯まっていくので利回りも良くなります。Curveの利回りの源泉は取引手数料ということを覚えておきましょう。
Curveにはたくさんのプールがあるので、どこに預けたらいいかわからないと思います。主なプールの特徴は後ほど説明します。
ステージ2:LPトークンを預けてCRVをもらう
ステージ2は、LPトークンをさらにCurveに預けることでCRVというトークンを受け取るというもの。
CRVには以下の役割を持っています。
- Curveにおける運営方針を決める投票権(ガバナンス)
- LPトークンを預けているユーザーへの報酬としての配布
- CRVをさらに預けて報酬としてもらえるCRVをブーストする
今回はガバナンスについての説明は割愛します。
LPトークンを預けてCRVをもらい、売却してもいいですしさらにCurveにロックすることもできます。
流動性プールにトークンを預けて受け取る手数料に加えて、LPトークンを預けてもらえるCRVが上乗せされます。
ステージ3:CRVをロックしてCRV報酬をブーストする
LPトークンをロックして受け取るCRV報酬は、CRV報酬をロックすることで最大2.5倍までブーストすることができます。
ロック期間は1週間から最長4年を選択することができ、期間が長いほどブーストするために必要なロック数が少なくなります。預け始めたばかりではブーストするためのCRVが足りないので、Uniswapなどで買ってくる必要があります。
CRVをロックすると、ロック期間と枚数に応じてveCRVというトークンがもらえます。預入金額に応じて、保有veCRV量からブーストの倍率が決まります。後ほど計算ツールの使い方を説明します。
ステージ3までやれば、取引手数料+CRV報酬でステーブルコインとしてはそれなりに魅力的な利回りになります。こうしたインセンティブによってCurveは流動性プールに資金を呼び込み、良いレートでの取引ができるようにしています。
Curveの使い方|ステーブルコイン取引
Curveの仕組みについて理解したところで、ここからは実際の使い方について紹介していきます。実際に試す場合にはgas代がかなりかかりますのでご注意ください。
まずはCurveの基本であるステーブルコインの取引から。
Curveにアクセスすると、次のような画面が出てきます。
取引したいステーブルコインを選択すると、自動的にレートやプールが計算されます。「Sell」を押すとMETAMASKがポップアップしますので、承認して取引を実行します。
ステーブルコインの取引はシンプルで簡単ですね!
Curveの使い方|流動性プールに預ける
Curveでステーブルコインを運用して利回りを得るために、まずはステーブルコインを預けなければいけません。
上部メニューの「pool」からプール一覧に移ります。
APY(年間利回り)やVolume(取引高)を見ながら、預けたいプールを選択します。主なプールの特徴は後ほど説明します。
プールのページに移動するので、上部メニュー「Deposit」をクリックします。
これがステーブルコインの預け入れ画面です。
Currenciesに預け入れるステーブルコインの枚数を入力します。
「Deposit」をクリックすると、流動性プールに預け入れるだけなのでステージ1の状態になります。「Deposit & stake in gauge」をクリックすると、LPトークンを預けるところまで自動でやってくれるのでステージ2の状態になります。
後からLPトークンを預ける場合には、以下のページから行うことができます。
https://dao.curve.fi/minter/gauges
次はステージ3を目指してブーストしてみましょう。
トップページ上部メニューから「DAO」→「Calc」と進むと、2.5倍ブーストに必要なCRVのロック量を計算できるページに移ります。
https://dao.curve.fi/minter/calc
Calculatorの使い方は次の通りです。
実際にCRVをロックするのは、「Locker」のページから行います。
ロックするCRVの枚数を入力し、ロックする期間をクリックします。METAMASKがポップアップするので、トランザクションを承認してください。一度ロックすると期間終了まで取り出せないのでご注意ください。
- 1CRV 4year = 1veCRV
- 1CRV 2year = 0.5CRV
- 1CRV 1year = 0.25veCRV
ロック期間と受け取れるveCRVはこのようになっています。
CRVを購入してまで利回りを上げると、追加で資金が必要になってしまうため資金効率が下がります。ロック期間や運用方法はよく考える必要があります。
Curveの主な流動性プールの特徴
3pool
DAI, USDC, USDTから構成されるプールです。いずれかのトークンを預けると、LPトークンとして「3CRV」を受け取ります。
Curveのステーブルコインプールの中で、最も取引高の多いプールです。
LPトークンである3CRVはCurveに預けるだけでなく他のDeFiで使えたりもします。
Compound
DAI, USDCから構成されるプールです。プールに預けられたトークンの一部はCompoundで貸し出され、それによる金利収入がプールに入ってきます。
Base APYが他のプールよりも高くなっているのはそのためです。
Compoundで貸し出しをすると、COMPというトークンがもらえますが、Curveではもらえません。利回りを比較してから検討すると良いでしょう。
Compoundについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
mim
MIM, 3CRV(DAI, USDC, USDT)から構成されるプールです。
MIMはabracadabra.moneyが発行するステーブルコインで、そこでの報酬としてSPELLというトークンが配られています。
mimプールに預けると、取引手数料やCRV報酬に加えて、SPELLを受け取ることができるため利回りが高くなっています。
まとめ
わかりにくいと評判のCurveの仕組みや使い方を紹介してきましたが、理解に役立てたでしょうか。
Curveの3段階ある利回りの仕組みやそれぞれのプールの特徴がわかってくれば、Curveについてかなり詳しくなったと自信を持ってもらっていいと思います!
CRVを利用した別プロジェクトもあるので、そちらもまた紹介していきたいと思います。