tokenPocketのminicooheiです。
本日はAmpleForthに代表されるエラスティックマネーについて簡単に解説していきたいと思います。DeFiというよりは、ステーブルライクなコインであったり、毎日の予測市場的な要素を持っているコインという意味合いが強いですが、ぜひ理解して一緒にRebaseで楽しみましょう笑
AmpleForthの詳しい説明は外部の以下の記事を読むのがおすすめです。
https://www.ampleforth.org/redbook/ampleforth_desired_output/
https://www.ampleforth.org/basics/
エラスティックマネー(elastic money)とは?
elasticという英単語は「弾力性のある」といった意味合いなのですが、エラスティックマネーをシンプルに言ってしまうと、供給量を調整することで、とある価格に収束させることを目指しているマネーのことになります。
もっといえば、エラスティックマネーは特定の価格に対して収束させるために供給量をアルゴリズムで変更していくものです。(通常の通貨の概念とは全く違うので混乱するかもしれません)
これだけだとわかりずらいので具体例を出しましょう。
1$を目指す、1$分のエラスティックマネー、謎通貨「ペリカ」を想定します。なんらかの事件を経て、この通貨の為替レートが2$になってしまいました。
アルゴリズムが1$に収束させるために、供給量をいじりに行きます。どうするか、ずばり、ペリカの供給量を2倍に増やすと、論理的には供給量が倍に増えることになるので、通貨の価値が上がらない限り、急に供給量が増えることで、為替レートは1$に収束していくはずです。(冷静に考えると思考や認知がついていかないのですこしむずかしいのですが)
ようは、単純に価格を下回ったときは、供給量を減らす、価格が上回ったときは供給量を増やすということを志向しているということになります。
一方で、エラスティックマネーにおける大事な概念は、供給量は全トークンホルダーにおいて、同時に二倍になるということです。つまりあなたがその通貨を持っているシェアは一切変わりませんし、供給量が増えることでのいわゆる稀釈化は一切しません。
さらにいえば、コールドウォレットや自分のウォレットで切り離して、保持していたとしても、同時に供給量が変更されるので、勝手に量が減ったり増えたりします。(これは通常の人生で起きることがないので、衝撃的な体験です。)
エラスティックマネーは何がよいの?
法定通貨担保形であるUSDC/USDTなどのステーブルコインはトラストレスにかつデジタル・ネイティブにブロックチェーン(Ethereum上)に持ち込むのは難しいですし、仮想通貨形ステーブルコインであるDAIなどでは、仮想通貨の担保を必要とする分、スケールさせるさいに障壁が大きくなります。
アルゴリズムマネーである、エラスティックマネーが成立した暁には、そうした担保や相互の価格に影響を与えてしまわない第三の仮想通貨の意味合いを帯びることになります。
さらに、供給量が固定されている仮想通貨は需要がなくなると急激に市場が縮小し大混乱に陥りがちですが、エラスティックマネーであれば供給を調整することで大幅なボラティリティを伴わず、既存の枠組みや為替の中で利用する事が可能です。
それらの特徴から、AmpleForthは、短期的には仮想通貨のポートフォリオにおいて他とそこまで関連しない多様なアセットをもたらすこと、中期的には価格が一定の特徴を生かして、DeFiでの担保運用、最後に長期的には急激なショック耐性を持った、中央銀行が発行する通貨の代わりを目指すなどといったことを利点として謳っています。(どこまで実現するかはわかりませんが、BTCやDAIなどとは異なるアルゴリズムだけによるコインは多様性をますことは間違いないと思います)
さらに、AmpleForthではBTCに対して、供給の弾力性がありながら、稀釈化しないかつ投機的な良さがあるという表現をしています。これも一理あると思います。ただし過去の経緯を見ると必ずしも書いてあるロジックとおりではないとも感じます。
Rebaseとバブルとババ抜き
エラスティックマネーでは、目的価格への収束のために、供給量を決められたスパンで決められたアルゴリズムで変更します。このプロセスは「rebase」と呼ばれます。
このrebaseは、実は人間の認知のバグを突いているため、非常にバブル(=Fear of Missing out)を起こしやすいです。
そのからくりを説明しましょう。本来のアルゴリズムでは、価格が2倍であれば、供給量が2倍になって、供給がじゃぶつくことで需要と供給という概念のもとでは、価格は下るはずです。しかしながら、実は、人間の認知は追いつかず、欲望にかられていくことになります。そのため、価格は2倍のまま、どんどん供給量が増えていくことになります。
実際ゲーム理論的に捉えると、値段がペッグ価格より上回っている際のトークンホルダーにとってのパレート最適な行動は「売らないで持っておく」になります。ただ、ナッシュ均衡は「1人だけ売り抜ける」ことのため、誰かが抜け駆けして売り始め、値段がペッグ価格より下回った場合は、逆に「いち早く売ること」がパレート最適な行動になるのでどんどん勢いよく売られていきます。
そのため本来は供給量が増えたり減ったりすることで、「需要」と「供給」で価格が収束できるはずのエラスティックマネーですが、rebaseにより人間が「欲望」と「恐怖」に駆られることでジェットコースターのようなバブルを演出しやすくなっています。
個人的にはゲームっぽくて好きなのですが、普通の仮想通貨より資産額という意味では通常の4倍以上とものすごく増減が激しいので注意しましょう。(*エラスティックマネーへの投資を薦めているわけではないですよ。あしからず)
Digg – エラスティックBTC
AmpleForthは1$にペッグしたエラスティックマネーですが、Diggは1BTCの価格にペッグされたエラスティックマネーです。 BagderDaoによって発行されており、総供給量が4000でスタートしています。
詳細は以下のHPより(使い方とかステーキングの詳細は今度記事に書きます)
https://badger.finance/digg
BTCにペッグしたBTCの良いところは、10日間かけて値段がずれている方向にゆるやかにRebaseしていくアルゴリズムが組み込まれていることで、BTCが急激に値段を動かしたときに、原資産よりは値動きが緩和できるということと、Ethereum上にインターオペラビリティや、担保なしに、BTCを持ってきやすくなるということにあると自分は考えています。
結果的に、Ethereum上でBTCのロングポジションが持てるのも面白いと感じています。wBTCとかrenBTCとかももちろんありますが、あれはUSDCなどと似た概念なので、より投機的かつよりトラストレスな概念なのではないかなと。
まとめ
エラスティックマネーは、まだまだ発展中の概念であり、まだ本流といえるようなものは出てきてない印象ですが、私達のの通貨やお金という概念が古いものであるかのように振る舞うところがあるので非常に刺激的です。
実際、本質的には我々の通貨の時価総額が動く場合、価値としては、実際は財布からお金が減ったり増えたりしているのですが我々はそれを認知することなく生活しています。
BTCはデジタルに希少性が定義されることで類を見ない価値を備えていますが、色々と課題もあります。自分はBTCの課題を埋めるようなエラスティックマネーが出てきてくれることを期待しています。
それでは。また次の記事でお会いしましょう!
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