NFTの課題としてよく知られるのは流動性が低いこと。特にBluechipと呼ばれるNFTは非常に高価なため、取引高はありますが、取引回数自体は少ないです。FloorDAOは、こうした流動性が低いというNFTの課題解決を目指したマーケットメイキングプロトコルです。
NFTの流動性を向上させることを目的としたプロトコルの一つに、NFTをERC-20化してDEXで取引できるようにするものがあります。中でもメジャーなのはNFTXであり、FloorDAOはNFTXの利用に高APRというインセンティブを付与して流動性を上げようとします。
高APRを生み出す仕組みは、DeFi2.0のキャッチコピーで一時期話題となったOlympusDAOの仕組みを利用しています。NFTを使って高APYで運用することもできるので、Bluechipの運用手段の一つとして知っておきたいプロトコルです。
それでは、この記事では、FloorDAOがどのようにNFTXを使ってNFTの流動性を上げていくのかを解説していきます。
NFTXについて簡単に解説
NFTXはNFTをプールに預けることで発行されるvTokenを使い、NFTの流動性を改善しようとするプロトコルです。発行されたvTokenはsushiswapなどのDEXで取引されることによって価格が定まっていきます。
また、プールを介してNFT同士の取引をすることも可能です。価格に応じた手数料の支払いが必要で、プールの中からランダムに選ぶ方が手数料が安くなります。
vTokenは、プールにあるランダムなNFTと交換することができるため、OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスにおけるフロア価格に追従する形となります。
NFTXには、NFTを預けるインベントリステーキングとvTokenとWETHのLPを預けるLPステーキングの2種類があります。インベントリステーキングでは、預けたNFTを預けることでそのNFTに対応したvTokenのリワードをもらいます。流動性提供ではWETHを持ち出している分、APRが高くなるように設定されています。
FloorDAOでの高APRはこれらのステーキングリワード(=プロトコルユーザーが支払った手数料)が源泉となっています。
FloorDAOの概要
- NFT資産に裏付けられてFLOORトークンが発行される
- FLOORはリベースが発生し、ステーキングしているユーザーに配布される
- FLOORを割引価格で入手できる割引債券を販売しトレジャリーに資金流入を促す
- トレジャリーの利回りの源泉は、FLOOR-ETH LPの取引手数料とNFTXでのステーキングリワード
FloorDAOのエコシステムは、OlympusDAOの仕組みを流用しています。FLOORというメインのトークンは、ETHおよびETH建のNFT資産の裏付けで発行されます。
OlympusDAO型というと破綻を想像してしまいますが、現状はステーキング比率も99%以上と高く(2022年10月19日時点)、トレジャリー収益も上がっています。
FLOORはトークンのリベースが発生し、FLOORをステーキングしているウォレットに配布されます。新しいFLOORはリベース以外にもBondという割引債券のような仕組みでも発行されます。
市場価格から割り引かれたFLOORの債券を購入することでFloorDAOのトレジャリーに資金が流入します。Bondを購入するためのアセットは、WETHであったり、先ほど紹介したNFTXのvTokenだったりします。
FloorDAOのトレジャリーは、FLOOR-ETHの流動性提供による取引手数料の他、先ほど紹介したNFTXでのステーキングリワードが利回りの源泉となっています。
まとめ
FloorDAOは、NFTXにOlympusDAO型の強烈なインセンティブを付与することで、NFTおよびNFTXのvTokenをステーキングさせ、NFTの流動性を高めていくプロトコルです。
他のプロトコルを利用して流動性を高めているあたり、DeFiっぽいですよね。今後は、convex型のveFLOORの実装も考えられているようです。