2023年に入った頃からLSD(リキッドステーキングデリバティブ)が話題になってきており、最近ではLSDを活用したエコシステムが拡大してきています。
この記事では、LSDの基本的な知識や代表的なサービスについてまとめます。
LSDとは
LSDとは、Proof of Stake(PoS)ブロックチェーンにおけるステーキングプロセスを改善するためのソリューションです。主にEthereumの文脈で使われます。Ethereumでは、ユーザーは自分のトークンを「ステーキング」することでネットワークのセキュリティを支え、報酬を得ることができます。しかし、ステーキングしたトークンはロックされてしまうため、運用の観点からすると資本効率が悪いという課題がありました。
そこで、Liquid Stakingは、ステーキングしたトークンに対して代替トークンを発行することで、ステーキングトークンの流動性を提供します。ユーザーはステーキング報酬を得ながら、同時にステーキングトークンを他のDeFiプロトコルで使用することが可能になります。
代表的なLSD
Lido(stETH)
最もTLVが多く信頼されているLSDプロトコルがLidoです。
Lidoに預けて受け取るstETHもDeFiで広く利用されており、ETHのステーキングリワードに加えて追加の利回りを得る選択肢が広いのが特徴です。
Lido単体としてのAPRは4%で、stETHを他のDeFiで運用することで5~6%程度にまで高めることもできます。
Rocket pool(rETH)
Rocket poolもLidoと同様のETHステーキングサービスです。
Ethereumのバリデータになるためには32ETH必要なのですが、Rocket poolでは、サービス利用者のETHを活用して最低8ETH(+担保2.4ETH)でバリデータノードを立てることができます。ノードを建てることで通常のステーキングよりも高いAPRで運用することができます。
Lidoも同様ですが、METAMASKと提携しており、ダッシュボードから簡単にステーキングすることもできます。
Coinbase(cbETH)
cbETHはCoinbaseが提供するステーキングサービスです。CoinbaseにETHを預けた代わりにcbETHを受け取り、DeFiで運用することが可能です。
先に紹介したLidoやRocket poolとは異なり、取引所が主体となっていることが特徴のサービスです。cbETHはCoinbase上で取引することも可能であり、DeFiに馴染みのないユーザーも参加しやすくなっています。
LSDのリスク
LSDで運用を行う場合には、以下のリスクをとることになります。
- ハッキングリスク
- depegリスク
- スラッシングリスク
ハッキングリスク
これはイメージしやすいと思います。サービスがハッキングによって損失を被るパターン。コントラクトの脆弱性を突かれる場合やサービスの提供主体が取引所であれば、そこのハッキングなどがリスクになります。
depegリスク
代替トークンなので取得時には1:1で交換されます(例えば5ETHを預ければxxxETHを5枚取得する)。一方で、サービス提供主体への不信感やハッキングなどのインシデントが発生すると、代替トークンの価格が大きく下がる場合があります。これによって預けたETHを回収することができず、損失を被る可能性があります。
一部の代替トークンは、利率が価格に反映されているため、それによって1:1からdepegしている場合もあります。
スラッシングリスク
預けられたETHはバリデータノードを立てて運用されていく分けですが、ノードの運用をきっちりしなかった場合にはペナルティとして預けているETHが没収されることがあります。これをスラッシングといいます。
LSDサービス提供者が運用するノードが適切に運用されていない場合、スラッシングにより元本ETHを毀損する可能性があります。これがスラッシングリスクです。
まとめ
LSDの基礎知識や代表的なサービスとして、Lido、Rocket pool、Coinbaseの3つを紹介しました。LSDにはスラッシングリスクといった独特のリスクがあることも基礎知識として押さえておきましょう。
次回はLSD周辺エコシステムに広がってきているリステーキングについて紹介したいと思います。