Reflexer(RAI)ペグなしステーブルコインのメカニズムを解説

特定の価格に安定するように設計されているトークンのことをステーブルコインといいます。馴染みのあるところでは、USDCやDAIですね。これらは、1ドルに近づくように設計されています。ドルに固定(ペグ)されることから、ドルペグコインともいわれます。

今回紹介するReflexerの$RAIは、「1ドル」のようにペグ価格がありません。トークンの設計のみで、価格の安定を図ることを狙っています。

「ETHを担保にステーブルコインを発行する」という大枠で言えば、Makerが発行するDAIに近いです。先にこちらを読んでおくと、理解が早まると思います。

RAIのメカニズム

3行サマリ

  • ETHを担保にRAIを発行 できる。
  • 市場価格と償還価格の大小で償還率が決まり、償還率に応じて償還価格が変化していく。
  • 市場価格と償還価格の大小で、インセンティブのある取引の方向性が決まり、市場価格が償還価格に近づく。

RAIは、ReflexerでETHを担保に発行することができます。MakerでETHを担保にDAIを発行するのと同じですね。

担保率(Collateral Rate)は、145%以上に維持する必要があり、担保ETH<発行したRAIとなりそうになる場合には自動的に精算されます。

DAIとの大きな違いは、1ドルというペグがないこと。

価格安定メカニズムについては、少しややこしいので、ゆっくり説明していきます。

RAIはペグなしでどのように価格を安定させるのか

ここで登場するパラメータは、4つ。

  • 償還価格
  • 償還率
  • 市場価格
  • 借入力

これらが絡み合って、価格の安定化が図られていきます。

RAIには、償還価格というものが設定されています。RAIを返済して担保となっているETHを引き出すときの価格です。この償還価格は、「償還率」というコントローラーによって調整されていきます。

償還率自体は、市場価格と償還価格から決められます。市場価格というのは、Uniswapなどで実際に取引されている価格のことです。

  1. RAIの市場価格>償還価格が長期間続く場合、償還率はマイナスになる。
  2. RAIの市場価格<一定期間の償還価格の場合、償還率はプラスになる。
  3. RAIの市場価格=一定期間の償還価格の場合、償還率は定常状態(ゼロ以外の場合もあります)で落ち着きます。

市場価格が償還価格よりも高い場合には、市場価格を下げる方向にインセンティブが働くように償還価格が調整されます。償還率がマイナスになって、償還価格が安くなってくると、借入力が上がるので、RAIを発行したくなります。市場に出回るRAIの量が増えるので、価格が下がってきます。

市場価格が償還価格よりも安い場合には、償還率がプラスになります。償還価格が徐々に上がっていくことが予想されるため、RAIを市場から買って返済に充てるというインセンティブが働きます。これによって、RAIの市場価格が上がります。

RAIの価格安定の実績は?

2021年3月に入ってからは、市場価格(緑)は$3.5~$2.9で推移しています。もちろんペグコインではないので、DAIほどではありませんが、ETH担保に償還率のコントロールだけでこの値動きはかなり安定性を出せていると思います。

市場価格が償還価格(青)から乖離した時には、徐々に償還価格に近づいて行っている様子も伺えます。

詳細は、Reflexerのアナリティクスダッシュボードから確認することができます。

https://stats.reflexer.finance/

RAI発行のやり方

アカウント作成

Reflexerで担保(SAFE)を立てるためのアカウントを作成します。MakerDAOまたはBalancerでアカウントを作っている場合には、パスすることができます。

ETHを担保にRAIを発行

RAIの最低発行量は800です。担保にするETHと発行したいRAIの枚数を入力してください。Collateral Ratioなどの見積もりが表示されます。

Collateral Ratioが145%になると清算されてしまうので、例えば200%以上にしようとすると、上図ように3ETHほど必要になります。

清算リスクを考えると、300%以上とっておいた方が安心です。いずれにしても、暴落に巻き込まれると清算されるリスクがあるので、ご注意ください。

最後に「Review Transaction」をクリックし、確認画面でトランザクションを通せばRAIが発行されます。

発行したRAIは自由に取り扱うことができますから、RAIをUniswapでETHと取引すれば、ETHにレバレッジをかけることになりますね。もちろんこのETHをさらに担保にしてRAIを発行することも可能です。

SAFEの管理

SAFEを立てると、SAFEの管理画面へアクセスできるようになります。管理画面では、次のことができます。

  • ETHの担保を追加、引き出し
  • RAIの発行、返済

ETHの価格が上昇して、担保に余裕が出てきたからRAIを追加で発行したいときや、反対に清算リスクが高くなっているので追加のETHをdepositしたい時には、こちらの画面から管理を行いましょう。

まとめ

ReflexerでETHを担保にRAIを発行することで、ETHにレバレッジをかけた運用をすることができるようになります。

RAIは償還価格と市場価格から、償還率がコントロールされ、ReflexerユーザーにRAIの発行や償還を促すことで価格の安定化が図られます。

MakerがETHを担保にDAIを発行することができますが、こういった選択肢が増えていくのは面白いですね!

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