YieldProtocol|Arbitrumの固定金利レンディングプロトコル

先日Optimismでの$OP給付金が話題になり、同じL2カテゴリのArbitrumでの給付金にも期待が集まっています。

今回紹介するYieldProtocol(Yield)は、Arbitrum上で動いている固定金利のレンディングプロトコルです。Arbitrumのお触りイベントである「Odyssey」でも予定されているプロジェクトなので、概要を理解してイベント開始に備えましょう!

この記事ではYeildの仕組みと使い方を紹介していきます。

YeildProtcolの概要

成熟時のfyDai

多くのレンディングプロトコルでは、貸し借りのバランスによって利率が決まる変動性となっています。それに対してYeildは固定金利性のプロジェクトです。

まずは固定金利を実現している仕組みを紹介していきます。

Yeildではゼロクーポン債の発行・償還を行います。ゼロクーポン債とは、利息を受け取らない代わりに割引価格で購入することができ、満期になると割引前の価格で償還できるというものです。

ゼロクーポン債はfyという接頭語がついて発行・償還されます。例えば、1年後に満期を迎えるDAIのゼロクーポン債であるfyDAIを100fyDAI=95.24DAIで買います。fyDAIを保有し続けて満期を迎えると、DAIに償還することができるようになります。このとき、1yfDAI=1DAIで償還されるため100DAIが戻ってくることになります。結果として、95.24DAIが100DAIに増えているので、実質的な利率は5%となります。

最初に割引価格でfyDAIを買ったタイミングで、固定金利の利息を先に受け取っているとイメージするとわかりやすいと思います。

なお、満期の後も保有し続けていると変動金利で利息が乗ってきます。満期ちょうどに召喚すれば1fyDAI=1DAIですが、時間が経つにつれて1fyDAI>1DAIとなります。

次は借りる場合について説明します。

Yeildでは他のレンディングプロトコル同様、オーバーコラテラル(過剰担保)でトークンを借ります。借りるトークンがDAIの場合には、まずはfyDAIが発行され、同時に売却されてDAIが手元に届きます。

fyDAIはゼロクーポン債なので、割引価格で売却することになります。つまり、このタイミングで金利を支払ったことになります。満期を迎えたらDAIを返却し、担保にしていたトークンが取り出せるようになります。

満期の後は変動金利に自動的に移行していきますので、忘れずに返済しましょう。

YeildProtocolの使い方

Borrow(YieldProtocol)

Yeildでトークンを借りる場合には「Borrow」メニューから行います。固定金利の利率は借りる額が大きくなるほど高くなります。満期を設定して、NextStepをクリックします。ちなみに、CompoundやAaveと比べるとにも関わらず金利が低いです。(市場原理的に考えればリスクが高いと評価されているわけですので、積極的な利用は推奨はしません。)

現在対応している担保はETH、USDC、DAIのみで、ETHの場合は最低担保率が140%、USDCとDAUは110%となっています。ステーブルの場合はまだいいですが、ETHを担保にする場合には余裕を持った設定にしておきましょう。

トークンを借り後は「Dashboard」から状況を確認することができます。

担保の追加や返済は、ポジションをクリックすると上記のような詳細画面がポップアップしてくるので、そちらで行なってください。

Lend(YieldProtocol)

貸し出しは「Lend」から行います。

こちらはとてもシンプルで、貸し出すトークンの枚数を入力し、満期を設定するだけです。

トランザクションのレビューがでてくるので、問題なければ「Lend 〜」のボタンをクリックしてトランザクションを通します。

こちらもポジションはDashboardから確認することができます。満期を変更することも可能です。

Redeemからはトークンを償還することができますが、満期前の早期償還は当然1fyDAI=1DAIになりませんのでご注意ください。

Pool

YeildでfyDAIとDAIが取引されるのは、Yeild特有のAMMで行われます。Uniswapなどと同様に、ここに流動性提供をすることで手数料を獲得することができます。

金利変動やプロトコルのハッキングなどがあった場合にはインパーマネントロスや実際の損失が発生します。

流動性提供は、「Pool」メニューから行います。DAIまたはUSDCを選択し、「Select a different strategy」から満期を決めます。

チェックボックスをクリックして「Pool〜」から流動性提供のトランザクションを実行します。「Borrow&Pool」とあるように、fyトークンを借りつつ流動性を提供することになります。

先ほどと同様にポジション確認や流動性提供資金の引き上げなどはダッシュボードから行います。上の図は100DAIを流動性提供しているポジションの例です。推定リターンが98.34DAIになっています。

実際にトランザクションを確認するとわかりますが、一部はfyDAIとして返却されます。そのため実際のリターンはfyDAIを償還した分も加えて考えればオッケーです。(96.06+1.56+2.28=99.9)

Yeildの仕組み上、fyトークンとの取引が盛んにならない限りは手数料収入はわずかです。給付金目的以外で運用する場合には出来高やリスクをよく確認してから入る必要があります。

まとめ

固定金利レンディングプロトコルのYeildについて紹介しました。ゼロクーポン債を発行・償還することで固定金利としているわけですね。

fyトークンの扱いが通常のレンディングプロトコルと異なり、ややこしかったかと思います。Arbitrumのお触りイベントであるOdysseyに合わせて実際に触る際の助けになったらうれしいです。

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